好調が続いた後や、限界グレードのルートや課題に修行のように長期間打ち込んだ後など、一気に調子が落ちてしまった経験はありませんか?
私は何度かそんな経験をしました。そんな時、自分の心身の状態に目を向けると、精神的にずっと急か急かしている印象で、体は常に少しリキんだ状態、疲労や痛みを感じる箇所は特に緊張状態になっていると気付きました。
頑張りモードを長く続けると、リラックスできない状態になってしまう事があるようで、脱力できないので、疲労が抜けず筋肉が硬くなってパフォーマンスが落ち、それをフォローしている周辺の筋肉の負担も大きくなり、最終的に故障してしまうという負のスパイラルに陥るケースも多いようです。
自分が体をオフモードにできないことで調子が落ちているのだと気付いてからは、日常生活の合間に、時々肩の力を抜いて脱力するとか、リラックスする時間を意識して取るようにしました。すると、徐々に体調が戻っていきました。
この記事は、集中しすぎて頑張り過ぎる方には特に知って頂きたい自律神経について書いていきます。クライマーとして成長を続けるには、トレーニングする事と同じぐらい大事な観点だと思います。
ライター:諦めない男 つるぎ
「自律神経を整える」を活動要点に加える
結論から書きます。
クライミングで目標の課題やルートに熱中して打ち込んでいる時期こそ、体の力を完全に抜いて脱力する時間や、心の底から安らぎを感じるようなリラックスする時間を積極的に取って自律神経を整えることを意識的に行う必要があります。それが謎の長期不調に陥らない方法となります。
自律神経とは
私たちは、呼吸をする、体温を一定に保つ、血圧を調整する、消化を行うなど、生きていくために必要な様々な機能を無意識のうちに調整しながら実行しています。この生命活動の司令塔が自律神経です。
この自律神経が乱れると、頭痛、肩こり、胃腸障害、不眠症、うつ病などの様々な心身の不調に繋がります。
自律神経の2つのモード
自律神経には戦闘モード(交感神経)と、回復モード(副交感神経)があります。どちらか一方が優位になっても心身に不具合が起こります。ですので、この2つのバランスが重要となります。
戦闘モード (交感神経)
戦闘モードに入るとアドレナリンのホルモンが出て、心拍数、呼吸数、血圧が上がって筋肉に力を与えます。
注意点:長期的に戦闘モードを続けると心身への負担が大きくなります。頭痛、肩こり、胃腸障害、不眠症などの症状が出たり、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高まる可能性もあるようです。
回復モード (副交感神経)
回復モードに入るとアセチルコリンなどのホルモンが出て、心拍数、呼吸数、血圧を下げ、筋肉をリラックスさせて心身の回復を促進します。
注意点:長期的に回復モードを続けると活動する気力が無くなっていきます。倦怠感が増して集中力が低下したり、うつ病などの精神疾患のリスクが高まる可能性もあるようです。
回復モードに切り替える方法
クライミングの活動をされている方が回復モード優位になることはないと思いますので、ここではクライミング活動中や日常生活で有効な回復モードへの切り替え方の具体例を紹介します。自分に合った方法を見つけて、続けることが大切です。
クライミング中でも出来る具体例
ゆっくりと深い呼吸をする
ゆっくりと深い呼吸は、最も簡単な方法の一つです。腹式呼吸を意識して、鼻からゆっくりと息を吸い、口からゆっくりと息を吐き出しましょう。レスト時に有効です。
笑顔を作る
笑顔を作ると、脳がリラックスします。クライミング中やレスト時に有効です。壁側を向いているのでバレません。
脱力する
登っていない時は全身の力を完全に抜きます。登っている時も保持に必要な部分にだけ力を入れて、それ以外の部分を脱力することは有効です。肩の力を抜けとよく言いますが、元メジャーリーガーのイチロー選手が、肩の力を抜くにはまず膝の力をを抜く必要があると言っていました。
舌を出す
元NBA(バスケットボール)のマイケルジョーダン選手が、試合中に舌を出していたのは有名ですが、あれはリラックスの為なんだそうです。舌を出すとリキめなくなります。これもクライミング中に使えますね。
日常生活で行う具体例
ストレッチやヨガを行う
ストレッチやヨガは、体の緊張をほぐし、回復モードを活性化します。特に、首や肩、背中などの筋肉をストレッチすると効果的です。ストレッチポールがおすすめです。
低強度の有酸素運動を行う
自転車、ウォーキング、ジョギングなどの有酸素運動は、交感神経を活性化しますが、運動後に適度な休息を取ることで、副交感神経が優位になります。中途半端に強度の高い運動を長時間で長期間することは戦闘モードから戻ってこれなくなる原因になるので注意が必要です。
入浴する
ぬるめのお湯に完全に脱力してゆっくりと浸かる入浴は、体の芯から温まり、回復モードを活性化します。アロマオイルを数滴入れるのもおすすめです。
十分な睡眠をとる
睡眠不足は、戦闘モードを優位にし、回復モードの働きを妨げます。一般的には質の高い睡眠を7~8時間確保することが推奨されています。
リラックスできる音楽を聴く
リラックスできる音楽を聴くと、心が落ち着き、回復モードが活性化されます。YouTubeで「リラックス 音楽」などで検索すればたくさんヒットします。
マッサージを受ける
マッサージでは、体の緊張がほぐされて、回復モードが活性化します。
体を温める
体を温めると、血行が促進され、回復モードが活性化されます。ホットパックや湯たんぽを使用したり、温かい飲み物を飲むのもおすすめです。
太陽光を浴びる
太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、回復モードが活性化されます。朝起きたらカーテンを開け、太陽の光を浴びましょう。
まとめ
・謎の長期不調の原因は自律神経の乱れであるケースが多い
・常に自律神経を整えておくことが重要
・戦闘モード(交感神経)と回復モード(副交感神経)のバランスが大事
・戦闘モードと回復モードどちらかが一方的に優勢だと心身の健康を損なう
・熱中し過ぎるクライマーは回復モードへの切り替えを積極的に行う
・回復モードへの切り替え方は自分にあったものを継続する
まだやれる!、まだ追い込み切れていない!と、更なる成長を求める余り熱中しすぎることで、体からの注意信号を軽視して突き進んでしまい、その後、調子が下がりだして原因不明の不調期間が長く続いたり、これまで痛めなかった部分を痛めてなかなか治らないという経験をしてきました。
調べていくうちに自律神経の乱れで起こる症状だと気付くことができました。ここが痛いとかの解りやすい症状だと対処も早かったんだと思います。同じような経験をされている方の早期解決に繋がれば幸いです。
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