胸を開く・背筋を伸ばすとか、体幹を作るとか、丹田を意識するとか、クライミングに限らずいろんなスポーツで姿勢やフォームが大事だという話はよく聞きますが、正直なところ、以前はあまり意識せずに登っていました。
その頃は、慢性的に腰に疲労がたまっていたり、肩、手首、指などを痛めたりということが定期的にありました。クライミングの成長も停滞状態で、突破口を探していろいろと取り組んでいました。
サブトレで始めたロードバイクでも乗車姿勢で悩んでいた時期だったので、日常生活でも姿勢にかなり意識が向いていました。通勤で毎日2時間強、ロードバイクに乗り込む中でいろいろと試した結果、自転車でもクライミングでも力が発揮できる姿勢は同じだということが解ってきました。
この記事では、ロードバイクに乗り込んだことで見えてきた、本来の体が持つ力を発揮できる姿勢の話について、経験談を書いていきたいと思います。目指すべき姿勢に悩んでいる方や、姿勢を意識したことがないという方の更なる成長のヒントになればと思います。
ライター:諦めない男 つるぎ
登れる姿勢を体得する方法
結論から書きます。
ロードバイクでは、間違った姿勢で毎日長時間乗り込んでいると、体が痛みを出して教えてくれます。痛みが出ない乗り方を追求して、繰り返し姿勢を改善しながら覚えていくことで、身体能力が最大限発揮できる姿勢を体得することができます。
以下、私の経験談を例に解説していきます。
どのくらい乗り込んだのか?
出勤時に約16km、帰社時に約40kmで、1日当たり計60km弱(2時間強)の走行距離が基本です。これを平日の5日間(雨の日除く)と、週末もたまに乗って、月平均にすると900~1200km程度、ロードバイクに乗っていました。
長時間乗り込むとどうなるのか?
ロードバイクは前傾姿勢で乗車するため、乗っているだけでその姿勢を維持する体幹の筋力を使います。正解の姿勢であっても長時間乗っていると疲れてきて、姿勢が崩れやすくなっていきます。
姿勢が大きく崩れていく一番の原因は、体幹が疲れてくることで、重い頭が重力に負けて下がってしまう事です。これにより、背骨や腰など下位のパーツが全体のバランスを取ろうとして、力が発揮できない姿勢へと崩れていきます。
具体的には、体幹で姿勢を維持できなくなることで、股関節で曲げるところを腰も曲がってしまい骨盤が寝てしまう、巻肩になって胸が閉じてしまう、顎が前下方向へ出てしまい、首がストレートネックの状態になってしまう、などの状態です。
この状態で乗り続けると、正解の姿勢では不要な筋力を使う必要がでてきます。結果、長時間リキんだ状態が続きますので、その部分の筋肉が疲労して固まってしまい、不調の原因になってしまいます。
どんな痛みが出たのか?
首周り、肩、背中、腰などにコリや痛みが出ました。朝起きた時に首の付け根が痛くて起き上がりにくかったり、日中も首から肩にかけてコリ固まっていて生活しにくい状態が続く時期もありました。また、腰にも疲労が溜まって抜けない状況が続いた時期もありました。
いろいろと姿勢を試す中で、乗り方によって疲労が溜まりやすい箇所は変わりました。クライミングには関係ありませんが、サドルに接地する股間の部分も乗車姿勢により痛みが出やすくなることが解りました。
どのように修正したのか?
コリや痛みが出ている状況で、乗車姿勢を変えて正解に近づけていくことで痛みが明らかに緩和していくので、それを感じながら姿勢を微調整していきました。
私が意識したことは、疲れた時にダレて崩れていく姿勢を意識して維持するということと、腰を反らし過ぎないということでした。疲れてくると、これまでの悪習慣で身についた姿勢に気付かないうちになっている問題を自覚しました。
顎が前下方向、猫背、腰で曲がり、骨盤が寝る、そんな状態で、疲れの度合に比例して少しづつ崩れていくので当人は意識しないと気付けないんだと思います。
なので、これらが崩れていないか?崩れている場合は修正するように時々見直すようにして姿勢維持を心がけましました。
私にとって難しかったのは腰の姿勢・ポジションの取り方でした。伸ばしすぎると反り腰になるし、曲げすぎも当然よくないし、ちょうどよい角度と前後位置を掴むのに苦労しました。感覚的には、ほんの少し曲げている・少し後ろ側にポジションを取っていると感じるぐらいがパフォーマンスを発揮できる状態でした。
私が実践しているロードバイクで腰のポジションを確認する方法は次の通りです。
ロードバイクに乗車して(骨盤が立っていることは大前提)、ブラケット(ハンドル)を上から地面の方向へ体重をかけながら強く押えつけたときに、大胸筋など体の前側の筋肉と、肩甲骨周りや背筋など背中の筋肉が均等に使えていると感じるポジションであること。
チェック項目をまとめると次の4点になりました。
- 顎を引く
- 頭のツムジを天にひっぱられるように背筋を伸ばす
- 肩を落とす(肩の力を抜く)
- ブラケットを地面方向へ強く押しつけて、胸と背筋から均等に力が出せる角度と前後位置で腰のポジションを取る
正解の姿勢がとれるようになってどんな変化があったのか?
全力でペダルを廻した時の安定感、体幹からペダルへダイレクトに力が伝わっている感覚、下車後や翌朝の体に局所的な疲労感を感じないなど、明らかな違いを実感しています。
この姿勢はクライミングでも効果を発揮しています。
上記のチェック項目の内1~3は同じように姿勢をとり、4については、同じ高さで肩幅ぐらいの距離のホールドを2つ持って、肘を90度に曲げて保持し、地面に向かって強く押さえつけた時に、胸と背筋から均等に力が出せる腰の角度と前後位置、更に壁からの距離を調整することで、腰のポジションと壁からどのぐらいの距離感で登るのが一番パフォーマンスを発揮できるのかを感じる事ができます。
腰のポジションについては、ほんの少し前後するだけでかなりの違いがあると感じています。このことに気付いてからは、私はこの儀式をクライミング前のルーティーンとして取り入れています。
まとめ
- 姿勢によって発揮できるパフォーマンスは大きく変わる
- 猫背と反り過ぎ両方に注意して、パフォーマンスを発揮できる姿勢を体得する
- 疲れの大きさに比例して、気付かないレベルで少しづつ姿勢は崩れていく
- 自分なりの姿勢維持・修正方法を模索する
- 悪い姿勢は不調のサインが教えてくれる
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