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リズムよく登る、その真意

クライミングはリズム良く登ることが大事だと言われますが、その真意はよくわからないままでした。

これまでの自分の解釈は、動作の速度感や、一定のリズムで動くことを指しているんだろうとボヤっと思う程度でしたが、自らが起こした運動エネルギーを有効に使った登り方や、逆に脱力して重力を利用した登り方などを知ることで、「リズムよく登る」という言葉の意味するところがわかってきました。

この記事では、リズムよく登るという言葉の真意だと思うことについて書いていきます。

ライター:諦めない男 つるぎ

 

結論

クライミングは、重力に逆らって、より高い所へ体を上げていく動作の連続になります。動作を起こすことで生み出した力を有効に使いながら登るためには、リズムよく登ることが大切になってきます。

登りのリズムは、力を入れるタイミングと脱力するタイミングによって作られます

リズムを作る際の要点は次の2つになります。

  • 自らの動作で生まれる力を有効に使う
  • 脱力することで発揮できる力を活用する

それぞれ詳しく書いていきます。

 

自らの動作で生まれる力を有効に使う

前提として意識しておきたいこと

まず、このテーマを考えるにあたって、前提となる内容を整理します。

体全体が移動する時はもちろん、腕や足、首など、体のパーツを動かすと、その重さや速度に比例した大きさの力が生まれます。

これを踏まえて、意識的に使いたい力は大きく次の2つです。

  • 首・腕・足などパーツが動くことで生まれる力
  • 重心の移動をともなった動作で生まれる力

それぞれについて書いていきます。

首・腕・足などパーツが動くことで生まれる力

各パーツの重さをイメージしやすいように、参考値をGemini(AI)に聞いてみました。

身長170cm、体重60kgの男性の体重を頭、胴体、腕、足に分けた場合の平均的な割合は以下のようになります。この割合は個人差がありますが、一般的な目安として参考にしてください。

  • : 体重の約8%
    • 60kg × 0.08 = 約4.8kg
  • 胴体(胸部、腹部、骨盤を含む): 体重の約50%
    • 60kg × 0.50 = 約30kg
  • 腕(両腕の合計): 体重の約10%
    • 60kg × 0.10 = 約6kg
  • 足(両足の合計): 体重の約32%
    • 60kg × 0.32 = 約19.2kg

したがって、この場合のおおよその配分は以下の通りです:

  • : 約4.8kg
  • 胴体: 約30kg
  • 片腕: 約3kg
  • 片足: 約9.6kg

このような体重配分が一般的とされていますが、実際の数値は筋肉量や体脂肪率などにより変動します。

上の例で話をすると、腕は3kg、足は10kg近くあります。ムーブを起こす時に、腕や足をタイミング良く使って、勢いを出すことができれば、登りの効率があがることは想像できると思います。

また、頭の重さはボーリングのボールに例えらる事があります。上の例でも5kg近くあります。腕や足ほど使い勝手は良くないですが、役立つ場面もあると思います。

普段から重さを意識せずに操作している体のパーツが、意外と大きな力を発生させていることを意識して登りに活かしていくことで、「あと少し」を埋めてくれるアイデアに繋がると思います。

 

重心の移動をともなった動作で生まれる力

重心(腰)が移動する時はかなり大きな力が発生しています。前項の例で話をすると、最低でも体重の半分以上の力が働くことになるので、この力の流れを止めずに活かすことができれば、楽にムーブが起こせたり、使いどころによっては手足のフリクションを高めることができ、結果的に保持力やスタンスの安定感が上がる効果も期待できます。

見逃し勝ちなのは、動きが止まった直後です。表面的には静止していますが、止まった直後は重心位置が体内で揺れています。一定の時間が経てば腰の中心位置に落ち着いてしまい、重心を0から動かす労力が必要になること、状況によっては、それが致命的になってムーブが起こせなかったり、フォールする原因になることもあります。

 

脱力することで発揮できる力を活用する

 ムーブを起こす際に、脱力を活かせる場面は次の2つです。

  • 重力を利用するとき
  • 出力している状態が動作の邪魔になるとき

それぞれ書いていきます。

重力を利用するとき

バランスが崩れた状態で脱力すると重心がバランスを取れる方向へ移動します。この自然の摂理を利用すると、自分の力を使わずに移動することができます。例えば、斜め上のホールドを取ったあと両足をスタンスから離すとその効果を感じることができます。他にも下の動画のように抜重や膝抜きといわれる技術やその応用的な使い方も有効です。(動画前半で解説している脚をはずすサイドステップを参考にご覧下さい)

 

出力している状態が動作の邪魔になるとき

速度は力の大きさに直結します。りきんで必要のないところにも力を入れてしまったり大きな力を入れっぱなしの状態では動作の速度は遅くなっていきます。車で例えると、ブレーキを踏みながらアクセルを全開にしているような状態です。

この場合、感覚的には大きな力を発揮しているように感じるのですが、実際は大きなロスが発生していて、力は打ち消され、たいした出力ができていないことがほとんどです。

効率よくパフォーマンスを発揮するためには、ムーブを起こして動いている最中など、重心が動くことで発生する大きな力の流れが利用できる状況では力を入れるタイミング・抜くタイミングが非常に重要です。

タイミング良く利用できれば、重心が生みだす大きな力は、ムーブの追い風になりますが、タイミングが悪いと、逆にムーブを難しいものにしてしまうことになります。

下の動画はボールを蹴るという動作を例に、脱力することで大きな出力を生み出すことができる理由について解説した参考動画です。この中の、「3 拮抗筋がブレーキをかける」、「4 力を抜く、入れるタイミング」の内容がクライミングでもそのまま応用できる内容になると思いますので、是非ご覧ください。

 

まとめ

効率良く登るためには、リズム良く登ることが重要です。

登りのリズムは、力を入れるタイミングと脱力するタイミングによって作られます

リズムを作る際の要点は次の2つになります。

  • 自らの動作で生まれる力を有効に使う
  • 脱力することで発揮できる力を活用する

効率よくパフォーマンスを発揮するためには、力のオンとオフと、その切り替えのタイミングが大事になってきます。腕・足・首などの体のパーツと、重心(腰)が動く時には、その重さに応じた大きな力が働いていることを意識して、うまく活用してムーブの流れを作ったり、重力を上手に利用することができれば、これまでよりも効率よく登ることができると思います。

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