クライミングでいろいろな課題にトライしていると、「保持感がしっくりこない」、「ホールディング時に力が入りにくい」と感じる、そんな経験はありませんか?
その原因は、親指が有効に使えていないために本来の力が発揮できていないだけかもしれません。
自身の身体能力を活かして、キネティックチェーンを発揮しながら登っていくためには、8つの押さえるべき要点があると私の経験からまとめました。これらの要点を押さえたクライミングに変えていった結果、高いパフォーマンスを維持した登りが出来るようになっていきました。
この記事ではその要点の1つ、【連動する親指の使い方】について書いていきます。
ライター:諦めない男 つるぎ
体幹へ連動する親指の使い方
親指の使い方は、ホールドの保持・操作をする際に背中や体幹の力を使うことができるかを決める要素となります。
使い方が間違っているとムーブを起こす場面で、体全体を連動して力を発揮することができません。また、可動域もかなり制限されてしまいます。特に親指をメインで使うピンチ持ちの場面でその効果は顕著に表れます。
以前の私はピンチ持ちが苦手で、ピンチ持ちをしたとたんに力が込められなくなると感じていました。この事に気付いてからは、ピンチ持ちに対する苦手意識は無くなりました。
本当にちょっとした差ですがこんなに変わるんだと実感しました。
体幹へ連動する親指の使い方 4つのポイント
親指の使い方で意識するべき4つのポイントについて解説します。
胸を開いて背筋を伸ばす
胸を開いて背筋を伸ばすことで、肩甲骨周りの筋肉が活性化し、肩甲骨や体幹からの力を伝えやすくなります。そして、体幹の安定にも繋がります。
親指の関節を立てる
クライミングでホールドを保持する際に意識すべき親指の使い方について写真を例に解説していきます。
下記の写真左が連動性の高い良い持ち方、写真右がほとんど前腕だけの力に頼ることになる持ち方になります。ポイントは親指の赤丸部分の第2関節が立っているかどうかになります。
写真左は第2関節が立っている状態、写真右は第2関節が寝ている状態です。実際に何か動かないものを掴んで揺らすように力を入れて比較してみてください。 写真右の持ち方をすると腕先の力しか使えないことが感じられると思います。一方写真左の持ち方をすると体全体も一緒に動くため繋がっている感覚を感じる事ができると思います。
一番重要なポイントは第2関節が立っている事ですが、指先に近い第1関節は寝ている状態(他の指のカチ持ちのような状態)でホールドを保持・操作できれば更に連動性が高まります。
ホールドの形状や重心位置によってできない場合もありますので、出来れば寝かせると覚えておいてください。
小指と親指で挟む
小指と親指でホールドを挟む意識で持ちます。その際、親指の第1関節を小指側へ押しつけるように保持することで安定性が増します。指の隙間が空いていないことも保持を安定させることに繋がります。
親指の力加減
親指は強く押し込む必要はありません。軽く挟む程度が基本となります。必要に応じて力を調整します。
まとめ
キネティックチェーンの発動要点③ 体幹へ連動する親指の使い方
【連動する親指の使い方】が有効なのは、ホールドを保持している全ての場面となります。第2関節を立てることを普段からしていない人にとっては慣れるまで継続した意識が必要だと思いますが、意識して使っているといつの間にか自然と出来るようになってきます。
親指は他の指と反対側の位置で作用することが多いため、ただ添えているだけの状態でもバランスが取れて安定感がでます。また、親指は太く強いため、使い方次第で保持力や推進力を作るのにも大きく貢献します。
体幹へ連動する親指の使い方を活用する場面
- ほとんど全ての保持において有効
- 親指をホールドに掛けられない場合でも隣の指に添える等で使用する
- 特にピンチ持ちで有効性が実感できる
期待できる効果
- 肩甲骨や体幹の力を連動させて使うことができる
- 保持力・持久力を発揮できる
- 保持が安定し、体幹の安定に繋がる
体幹へ連動する親指の使い方 ポイントまとめ
- 姿勢(胸を開く、背筋を伸ばす)
- 親指の第2関節を立てる
- 親指の第1関節は出来るだけ寝かせる
- 親指は小指とホールドを挟むようにホールディングする
- ホールディングした状態で肘はへそへ向かって絞るように保持する
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