数年前まで親指の使い方はカチでロックする場面でしか意識することはありませんでしたが、更なる成長のための取り組みの1つとして自分なりに研究を進めていったところ、有効に使ってこなかったことを猛省する結果となりました。
以前別の記事で書いた、キネティックチェーンの発動に重要だという点以外にも、他の指と並びが違う特性を活かして、状況に応じた有効活用ができるようになってきました。
この記事では、意識して使えるのと使えないのでは大違いの親指のガストン的な使い方について書いていきいます。
ライター:諦めない男 つるぎ
結論
親指を内側から外側へ向かって押せる位置に添えてホールドを保持(下記写真②参照)しておくことで、ムーブの動き出しは添えているだけの状態でも、スタンスに重心が乗って腰の位置が上がり出すと徐々に親指を外側へ向かって利かせられるようになっていき、スタンスに重心が移る力と親指を内側から外側へ押す力を利用して、身体張力を使ったムーブコントロールが出来るようになります。
このテクニックはホールドが悪くなればなる程そのありがたみが実感できます。ガバなど手の接触面積が大きいホールドでは、そのフリクションを利用して内側から外側へ向けた押し出しでムーブが起こせますが、小さなホールドでは指先しか接触してないので、内側から外側へ向かっての力を発揮しにくくなります。
そして、親指のガストン的な使い方からプッシュへの移行もしやすいため、左右への押しだしで距離が稼ぎやすい、推進力を作りやすいという利点もあります。しかも、親指は強いので1本でも力強く安定感のあるムーブコントロールが可能です。
親指をガストンに利かせるための要点は3つあります。
- 保持する際の親指の位置
- スタンスの位置
- 重心の位置
詳しく書いていきます。
保持する際の親指の位置
上写真左のホールドを左手で保持する場合を例に説明していきます。
写真①は、小指の位置を基準にした保持の仕方です。親指は壁に対して角度がないポイントに添えているイメージです。内側(右側)から外側(左側)へ向かって押すことには向かないホールディングですが、キネティックチェーンは発動しやすい持ち方で、ダイヤゴナルなどの対角線ムーブの際にはこの保持の仕方を多用しています。
写真②は、親指がホールドの右側面の出来るだけかかりの良い位置に来ることを基準としてホールディングしています。内側(右側)から外側(左側)へ向かって、横方向へしっかり押せる保持の仕方です。正対ムーブの場合はこの持ち方が有効な場面が多いです。
スタンス位置
上写真の赤丸(点線)のホールドを左手で保持するという前提で説明していきます。
完全なガストン持ちでガストンムーブを起こす場合と同じになりますが、左手が支持手になる場合、すくなくとも、その真下から左方向にスタンス位置をとってしまうと、親指は効かせることができなくなります。
上記画像内の「スタンスの選択エリア」にスタンスが置ける場合に有効です。但し、センターの赤ライン付近のホールドは利かせにくく、高い位置は柔軟性が必要です。また、同エリア内であっても、身長・手足の長さ・柔軟性・ホールドの形状などで使えるスタンスは変りますので、状況に合わせたスタンスを選択する必要があります。
重心の位置
保持する際の親指の位置とスタンスの位置ができていたとしても、体が壁から離れていては身体張力は利かせられません。親指で外方向へ押して、スタンスも外方向へ押しますが、その時力を出せる位置に重心(腰)が来ていることが重要です。
私の内感イメージとしては、支持手と支持足を線で結んだ時、その線上の中間位置に重心を持って行く感覚でムーブを起こしています。ホールドとホールドの間なので、腰を壁に近づける事も重要です。
まとめ
このテクニックは、動き出しはガストンムーブではないけども、重心を上げていく中でスタンスホールドに重心をもっと移したい場合や、他の指で保持して利かせていたホールドが効きにくい位置まで来た時の保持力・推進力を向上させたい場面で有効です。
親指をガストンに利かせるための要点は3つあります。
- 保持する際の親指の位置
- スタンスの位置
- 重心の位置
泥臭く使う場面が多いですが、この親指の使い方をマスターすれば登りの幅が広がると思います。親指1本で一瞬耐えることができれば、マッチするなど立て直しが出来る場合もあります。
認識として持っておきたいのは、ガストンではないムーブが途中からガストン的に利かせることが有効になる状況が結構あるということです。あと少し距離を出したい場面や、推進力が作れなくて困っている場面などで頭をよぎる選択肢の1つとなっています。
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