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クライミングで最高のモチベーションが生まれる瞬間

ライター:諦めない男 つるぎ

クライミングに対するモチベーションの方向性や大きさは、人それぞれ違います。

私の場合は、登れないルートが登れるようになること、そのために必要な成長の取り組みも含めた一連の活動が最高に楽しくてクライミングを続けています。

特に初見で触った時にそのルートから感じる圧倒的なプレッシャーや、大きく成長しなければ絶対に完登できない現実を突きつけられた時、このルートを完登できるようになった自分をイメージするだけで、ワクワク感とその未来に向けて全力で挑戦しようという大きなモチベーションが生まれます。

まったく完登できる気がしない課題に対して、怯まずに向かって行けるようになったのは、5.12後半のルートが登れるようになったぐらいからだと思います。完登できないと感じる課題が最終的に完登できてしまう、そんな体験を何度もすることで、心のリミッターが外れていったように思います。

今、私は過去最高レベルのモチベーションを持って打ち込んでいる課題があります。その課題は自分で登り方に制限を設けて、足パターン縛りという登り方でトライしています。

私が主に活動している施設は、国体でリードクライミングの公式競技場として使用された人口壁で、高さ16.5mあります。垂壁部と前傾壁が組み合わさった形状をしており、鉄骨造GRC(ガラス繊維補強セメント)パネルを張りつけた構造となっています。パネルの表面にはパターンと呼ばれるシワや凹凸があり、このクライミングウォールでルートを登る際には、設定されたホールドの他にこのパターンも使ってよいというルールになっています。

国体でリードクライミングの公式競技場として使用された壁
壁のパネル表面にはパターンと呼ばれるシワや凹凸がある

全てのルートを完登したので、新しいルートが出来るまでのつなぎという気持ちで、2カ月程前から新しい取り組みを始めました。それが、手は通常通りで、足はホールドを使わずパターンのみで登る、足パターン縛りの登りです。

このクライミングがとても楽しかったことと、5.12後半を登るようになった頃に、臀筋やハムストリングスなど、これまでクライミングで感じたことのない部位に疲労感がでるようになってきて、体幹と下半身で登っている感覚が持てるようになってきました。これは成長できると直感しました。

足パターン縛りは、5.11aから始めて、そこからグレードを順に上げていき、現在、コンペ課題の5.13aまできてしまいました。この課題に始めてトライした時、久しぶりに感じる大きな絶望感が、その大きさに比例して、最高のモチベーションとこの課題に対する集中力を生んでくれました。

通常通り登る取り組みも、足パターン縛りで登る取り組みも、私にとっては大差なく、困難をどう突破していくのか、不可能をどうやって可能に変えていくのか、この挑戦こそが自分が熱中している核となる部分だと強く感じました。また、クライミングにおいて自分の価値観を理解した上で活動することの大事さも再認識しました。

この課題に計6日間、12便出して取り組んできましたが、依然として完登の可能性はまったく見えてこない状況です。それでも、思考停止せず、諦めない心と全身全霊の登りで取り組むモチベーションは維持どころか向上していると感じます。この枯渇しないエネルギーこそが成長を続けていくために何より大事な事なんだと思います。

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