PR

骨盤を立てる ~キネティックチェーン発動要点⑦捕捉~

クライミングで高い位置にスタンスを上げるなど、背中を丸める動作をした後、力が入りにくくなったり、ムーブが起こせなくなったなどの経験をしたことはありませんか? 

その原因は、背中を丸めた際に骨盤が寝てしまい、次のムーブを起こすタイミングまでに骨盤を立てることが出来なかったからかもしれません。骨盤を立てて登ることは、身体能力を活かして登るための要点となります。

自身の身体能力を活かして、キネティックチェーンを発揮しながら登っていくためには、8つの押さえるべき要点があると私の経験からまとめました。これらの要点を押さた登り方に変えていった結果、高いパフォーマンスを維持した登りが出来るようになりました。

この記事ではその要点の1つ、【姿勢を維持する】の補足の内容として【骨盤を立てる】について書いていきます。

キネティックチェーンとは、骨、関節、筋肉、神経など、体全体を連動して動作させることを指します。 全身を一つの連結したシステムとして捉えることが重要です。体の各部位が連動することで、より大きな力を発揮することができるため、身体能力を最大限発揮して登るための必須要素となります。

ライター:諦めない男 つるぎ

結論

クライミング中のバランスを取る場面や、大きな力を発揮する場面では、骨盤が立っている事が重要なポイントの1つになります。

骨盤が寝ている状態では自ずと猫背になり、全体のバランスを取るために首は前に出てストレートネック状態になり、お尻は壁から離れてしまう姿勢になってしまい、保持手に無駄な負荷がかかってしまいます。更に、このような状態では体幹と連動した力強い動作が出来なくなってしまいます。

クライミングをしている時、骨盤は基本的には立っています。ですので、どんな場面で寝やすいのかを理解して、力を発揮したい場面で骨盤が立つようにムーブを組み立てる戦略が大切だと考えています。

骨盤が寝やすくなる状況は次のような場面で見られます。

  • せま苦しいムーブをする時
  • ハイステップをする時
  • スタンスが悪く体重を預けることができない時

それぞれの状況での対処の考え方について書いていきます。

せま苦しいムーブをする時

保持するホールドと、スタンスが接近している狭いセクションで、ムーブを起こさないといけない場合、体のどこかを折りたたんで中に入ることを考えると思います。

背中を丸めて、骨盤を倒して、お尻を壁から離なす形で体を小さくして入り込むことも選択肢の1つにはなります。その形で入り込んだ後に起こすムーブが、力強さを必要としないのであれば、問題なく通過できることもありますが、強度の高いムーブを起こさないといけない場合は、骨盤を立てることができず、それ以上進めなくなる事もよくありました。

骨盤は一度寝かしてしまうと、立てることが出来ない状況に追い込まれることがあります。出来るだけ寝かさないで済む足運び、体の折りたたみ方を覚えることが大事です。

ハイステップをする時

次のスタンスホールドが高い位置にある場合、一旦両足を揃えて、背中を丸め、骨盤を寝かせることで懐にスペースが出来るので、足を高く上げやすくなります。上げた足に重心を移して乗り込んだ後、力強いムーブを起こさないといけない状況の場合、骨盤を立てることが出来れば問題ないですが、骨盤が立てられず、ムーブが起こせない状況になってしまう経験は何度もしてきました。

上記のような方法でハイステップをする場合は、このようなリスクがあると理解して、出来るだけ骨盤を立てた状態を維持する足運びや、ムーブのパターンを研究することが大事です。

スタンスが悪く体重を預けることができない時

スタンスに体重が乗せられていない状況では、ほとんどの場合へっぴり腰になって骨盤が寝た状態になっています。また、スタンスを信じてしっかり体重を乗せることは、力強いムーブを起こす上でも必須になります。

スタンスが小さくてどうしても上から乗れないのであれば、スメア的に足裏に引っ掛けて利かせる方法や、壁の外側からスタンス方向への重心移動の力を使って一瞬だけ利かせるといった方法もあります。スタンスに体重をしっかり乗せずに切り抜けようとしても良い結果にはなりません。

骨盤を立ててスタンスにしっかりと体重を乗せてムーブを起こす、この原則から外れないように状況に合わて突破の方法を研究し続けることが大事です。

まとめ

クライミングをしている時、ほとんどの場面で骨盤は立っていますが、せま苦しいセクションや、ハイステップをする時など、寝かした方が登りやすい場面もあります。これをテクニックとして一時的に使うのは良いですが、骨盤を寝かした状態では力強いムーブが起こせない、壁の中でバランスが取りにくい状態であることを理解しておく必要があります。

そして、狭いセクションやハイステップの際も、骨盤を立てた状態で登っていくための足運びや、体の使い方の引き出しを増やしていくことは更に登れるようになるために重要な事だと思います。

コメント