クライミングでは、足にどれだけ多く体重を分散できるかが、長く登り続けるために重要なポイントになると誰もが意識していると思います。
クライミング教室などでは、腰を壁に近づけて登ると教えている場面をよくみます。私もそう教えられた記憶があります。この動作をすることで、体重の大半が足に乗って、手の負担が小さくなり楽に登れることから、長年その為だけに腰を壁に近づける意識で登っていました。
しかし、腰を壁に近づけることの利点は他にもあることに気付きました。この記事では、クライミングする際に、腰を壁に近づけて登る4つの利点について書いていきます。状況に合わせてムーブの選択肢が広がり、クライミング力の向上に繋がる内容です。
ライター:諦めない男 つるぎ
結論
壁に腰を近づけて登ることで得られる利点は次の通りです。
- ホールドを利かせ易い
- 身体張力を利用できる
- 身体能力を発揮しやすい姿勢が維持される
- 体重が足に乗り、手の負担が減る
それぞれ詳しく書いていきます。
ホールドを利かせ易い
人間の重心は、おへその下あたりだと言われています。ですので、腰の位置を壁に近づけることで重心位置が壁に近づくことになります。重心が壁に近づくことで、保持しているホールドに対する指のかかる角度が深くなって、手とホールドの接触面積が大きくなりますので、保持がより安定することに繋がります。
ガバホールドでは解り難いかも知れませんが、強傾斜壁や悪いホールドを保持する際に、保持できなかったものが、保持出来るようになるなど、大きな効果を感じられると思います。ここぞという場面で押さえておきたいポイントになります。
また、保持出来るホールドでも、保持がし易くて力を使わない状況を積み重ねることで、手や指の負担を減らした省エネ登りに繋がります。出来れば常態化させたい技術です。
身体張力を利用できる
手で保持するホールドと、スタンスホールドを結んだ直線上に重心があれば、身体張力が使い易い状況になります。ただホールドに乗って体重の多くを乗せているという意識だけでムーブを起こしていると、身体張力を活したムーブを起こすという発想が出てこないと思いますので、頭で理解して使いこなす必要があると思います。
体重をしっかり乗せているけど、身体張力も利用しているなど、登りを傍から見ている人には解らないような地味な技術ですが、小休止することが出来たり、バランスが取れたり、壁に張り付けたりと効用はかなり大きいです。
実際の登りの中で、身体張力100%という解りやすい使い方よりも、そのムーブ全体の力の数%~数十%の割合で身体張力を利かせています。使用頻度はかなり多いと感じています。
身体能力を発揮しやすい姿勢が維持される
身体能力を最大限発揮して登るための要点はいくつかありますが、骨盤が立っている状態というのはその1つになります。腰を壁に近づけることを意識して登ると、自然と骨盤が立った状態になりますので、身体能力が発揮し易い状況が続くことにも繋がります。
特に強傾斜壁では一度骨盤を寝かしてしまうと、リカバリーが難しい状況になることも多いです。場面によっては骨盤を寝かすことが有効な場合もありますが、基本的には骨盤を立たせた状態を維持する事がクライミングでは重要になります。
下記の記事は身体能力を発揮するために私が要点に上げている内容をまとめた記事になります。旧美濃ある方はご覧ください。
体重が足に乗り、手の負担が減る
これは誰もが意識して登っていることだと思いますが、一応触れておきます。
クライミングでは、長時間立つことが出来る足に、出来るだけ体重を乗せて登る事で、長い距離、長い時間登り続ける事が出来ます。腰を壁に近づけることで、スラブや垂壁なら重心がホールドの真上付近に、傾斜壁ならスタンスホールドの真上に一番近い位置まで重心を移動させる事が出来ます。これにより、スタンスへの体重分散の最大化が出来ます。
結果、手や指への負荷を小さく抑えることが出来ます。
まとめ
腰を壁に近づける動作は、クライミングを始めた頃に言われた記憶がありますが、その当時はやってみてもそれほど効果があると思えませんでした。なんなら、それほど意味ないのでは?とさえ思っていた時期もありました。特に垂壁や緩傾斜では感じにくいのかも知れません。
しかし、ある程度登れるようになってきて、難しい課題などに取り付き出すと、体重を乗せる以外の利点が有効な場面が多くあり、クライミング力を発揮する技術として、的を得た登り方だという認識に変っていきました。
- ホールドを利かせ易い
- 身体張力を利用できる
- 身体能力を発揮しやすい姿勢が維持される
- 体重が足に乗り、手の負担が減る
特に上3つは、ここぞという場面で使いこなしたい内容です。
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