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登る基礎技術、肘を曲げて保持する ~キネティックチェーン 発動要点④~

クライミングで、ホールドにギリギリ届いて保持した状態から高強度のムーブを起こしたり、ギリギリ届く距離のランジ課題に打ち込んだ結果、肩を痛めてしまった、そんな経験はありませんか? 

故障の原因は、体全体の連動性でダメージを吸収したり、ダメージをダイレクトに受けない体の使い方が出来ていなかっただけかもしれません。

体の連動性を高める概念であるキネティックチェーンを発揮しながら登っていくことで、高いパフォーマンスを発揮しつつ、高い負荷によるダメージも分散することができるようになりました。

この記事では、キネティックチェーンを発揮するための8つの押さえるべき要点の1つ、【肘を曲げて保持する】について書いていきます。

キネティックチェーンとは、骨、関節、筋肉、神経など、体全体を連動して動作させることを指します。 全身を一つの連結したシステムとして捉えることが重要です。体の各部位が連動することで、より大きな力を発揮することができるため、身体能力を最大限発揮して登るための必須要素となります。

ライター:諦めない男 つるぎ

肘を曲げて保持する

肘を曲げた状態でホールドを保持・操作しなければならない状況は、大きな力を出す時・受ける時になります。そのシチュエーションは様々で、ランジムーブなどのダイナミックムーブから、デッドポイントやカチ持ちなどの高強度のスタティックなムーブまでいろいろな場面が想定されます。

また、肘を曲げて保持することで、肩甲骨を介して体幹まで連動し、体幹に付随する大きな筋肉を連動させることができるようになります。これにより、従来の肩や腕の筋肉のみで保持するよりも、より大きな保持力と持久力を発揮することが可能になります。

一方、肘が伸びきった状態(肩甲骨や体幹が連動できていない状態)でランジムーブなどの高い負荷がかかるムーブを成功させてしまうと、その衝撃によるダメージを肩から指先で受ける形となり、故障の原因になることが多いです。体全体が連動している状態であれば、受けたダメージを連動している筋肉で分散することができるため、故障のリスクを軽減することができます。

例えば、ランジムーブでホールドを保持した後、体を持ち上げる際、肘を曲げていることで肩甲骨が連動し、体幹を使った体の引き寄せが可能になります。一方、肘が伸びきった状態では、肩甲骨が連動しにくくなり、肩・肘・手首・指先の関節に負荷が集中する形で体を持ち上げることになります。これにより故障のリスクが高まります。

肘を曲げて保持するための3つのポイント

胸を開いて背筋を伸ばす

胸を開くことで、肩甲骨周りの筋肉を活用できるようになり、体幹からの力も伝わりやすくなります。そして、背筋を伸ばすことで、体幹が安定し、力を効率的に発揮することができます。猫背にならないように注意し、背筋をまっすぐにします。

適切な角度で曲げる

肘の曲げ角度は90~120度ぐらいを目安にします。角度が小さすぎると力を伝えにくくなり、大きすぎると関節に負担がかかります。

体幹に力を入れて、体全体で保持する

体幹にも力を入れて保持することで、体全体の力で保持することができます。腹筋と背筋に力を入れて、体幹を作るイメージです。

肘を曲げて保持することで期待できる3つの効果

筋肉の効率的な活用

肘を曲げることで、体幹・背中・胸・肩・腕などの筋肉を連動して使うことができるようになります。結果、保持力・持久力の向上に繋がります。

関節への負担軽減

肘を曲げることで、肩や肘などの関節への負担を軽減できます。怪我のリスクが減ります。

体幹安定による力の伝達

体幹が安定することで、体の中心から力が伝わりやすくなります。バランス感も安定して、力強く安定したクライミングに繋がります。

まとめ

肘を曲げて保持する ~キネティックチェーン発動要点④~

【肘を曲げて保持する】を意識する状況はどちらかというと動の場面になります。強度の高いセクションを通過する時などは特に肘を曲げてホールドを保持・操作することが重要になってきます。大きな保持力や持久力を発揮する事、関節や筋肉への負担を軽減することが目的です。

肘を曲げて保持するためのポイント まとめ

  • 胸を開く、背筋を伸ばす
  • 肘を曲げる角度は90~120度ぐらいを目安にする
  • 体幹に力を入れて、体全体で保持する

肘を曲げて保持することで期待できる効果 まとめ

  • 体幹や肩甲骨周りの筋肉を連動して使うことができる
  • 保持力・持久力が向上する
  • 肩や肘などの関節や筋肉の負担を軽減し、怪我のリスクを減らせる
  • 体幹の安定により、体の中心から力が伝えやすくなる

  

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