クライミングでいろいろな課題にトライしていると、「いつものように力が出せない」「どうもしっくりこない」と感じる、そんな経験はありませんか?
その原因は、引き付ける際の体の使い方に問題があって、本来の力が発揮できていないだけかもしれません。
自身の身体能力を活かして、キネティックチェーンを発揮しながら登っていくためには、8つの押さえるべき要点があると私の経験からまとめました。これらの要点を押さた登りに変えていった結果、高いパフォーマンスを維持した登りが出来るようになりました。
この記事ではその要点の1つ、【肘とへそを近づける】について書いていきます。
※この内容はガストンやプッシュ等のムーブでは活用できません、その前提で読み進めて下さい。
ライター:諦めない男 つるぎ
肘とへそを近づける
肘とへそを近づける動作は、ホールドを保持して次のホールドを取りにいく時に有効な動作になります。ホールドを取りに行くムーブを2つのステップに分けると、
ステップ1: 支持手にへそを向ける動作
ステップ2: 肘とへそを近づける動作で腰の位置を上げて、次のホールドを取りに行く
となります。
肘とへそを近づける動作をすることで、体全体が一体感を持ち、体幹からの力強いムーブができるようになります。
肘とへそを近づける 3つのポイント
肘とへそを近づける動作をする際は、3つことを意識しながら身体を操作することで、その効果を感じる事ができると思います。
肘をへそへ引きつける意識
肘をへその方へ向かって引きつけるように保持します。この時、肘がへその方へ向けられないこともありますがそれは問題ありません。胸が開き、背筋が伸びた状態で肘とへそを近づけようとする力が働いていれば体幹の力で保持できている感覚が得られます。
指・腕・肩の力で引くのではなくて、肩甲骨や体幹で引いている感覚を感じられることが大事です。ホールドをしっかり保持するまでは、指先の感覚を頼りに保持感の良い場所を探って、保持が決まった後、意識は末端から体幹部に移っていき、肩甲骨や体幹で保持している感覚になります。
へそを肘に近づけていく
へそを肘の方へ近づけていきます。この時、発揮されるのは下半身の力になりますので、左右の足は体幹が連動できる位置でスタンスを捉えていることが重要になります。
近づける際のへその軌道は、肘に向かって斜め方向に直線的に近づくよりも、まずは左右どちらかの横方向へ移動していき、その勢いを殺さないよう出来るだけスムーズに、弧を描くように上方向に向かう流れに変えていくことが理想となります。
この動作を狙い通り行う事ができれば、股関節周り、特にお尻や太ももの裏の大きくて持久性能が高い筋肉をメインで使うことが出来るようになります。
肩を下げる
肘とへそを近づける動作をする際は肩を出来るだけ下げた状態で行うことも重要です。肩が上がったり、脇が開くほどに、体幹と腕の繋がりは小さくなっていきます。結果、保持力・持久力が発揮できない登りになってしまいます。
肩を下げた状態で肘をへそに近づけていくことが出来れば、体が壁に引きつけられていきますので、自然と理にかなったムーブになります。
まとめ
肘とへそを近づける ~キネティックチェーン 発動要点⑤~
【肘とへそを近づける】を活用する状況は、動の場面になります。肘とへそを近づける身体操作をしている間は、体幹を中心に体全体を連動させた大きな力が発揮しやすくなりますので、特に高い負荷のかかる場面ではこの体勢を崩さないように意識したいところです。また、この動作を行う場合、下半身の力をメインで使う事になりますので、左右の足は体幹が連動できる位置でスタンスを捉えていることが必須となります。
肘とへそを近づける場面
- 次のホールドを取るための動き出し~ホールドを取るまでの間
- 引き付ける場面
- 腕をロックして耐える場面
肘とへそを近づけることで期待できる効果
- 体幹の力を連動させて使うことができる
- 保持力・持久力を発揮できる
- 肩にかかる負担を軽減する
肘とへそを近づける ポイントまとめ
- 姿勢(胸を開く、背筋を伸ばす)
- 肘をへそに引きつける意識
- へそを肘へ近づけていく
- 左右の足は体幹が連動できる位置でスタンスを捉えていること
- 肩を下げる
コメント