クライミングの核心部など、全力を出してやっと登れるかどうかのセクションに差し掛かる時、気持ちのスイッチをONにして突っ込んでいく場面があると思います。
以前の私は、頭ばかりに血が上って、ホールドを保持する指や手などの末端にフルパワーを込めるようなイメージで登っていました。このようなムーブを繰り返していると、最初に痛めるのは指・手首・肩でした。何かが間違っているような気がしていたんですが、他に改善策も見つからず10年以上変化なしに活動していました。
最近、やっとフルパワーを出す時の要点が解ってきました。これに気付いてからは、これまで以上の大きな力や持久力が発揮できるようになったことに加えて、怪我をしにくくなりました。この記事では、限界グレードの核心部などで、フルパワーを発揮した登りで、目指すべき身体操作の方法について書いていきます。
ライター:諦めない男 つるぎ
結論
フルパワーを効率よく発揮するためには以下の2点が重要です。
- 体幹周りで生み出される大きな力をムーブの核として利用すること
- 全身を連動させた運動を行うこと
そのためには、体幹から手や足など末端までを連結・連動させた運動をする必要があります。
具体的な身体操作の要点としては、キネティックチェーンの記事で上げた8つが私の経験上重要だと感じています。今回この部分は省略しますので、興味のある方は下記のまとめ記事をご覧ください。
詳しく書いていきます。
体幹周りで生み出される大きな力をムーブの核として利用すること
体幹周りとは、腹筋・背筋・臀筋・股関節などを指しています。中でも力が集まる中心はへその奥の方に感じられます。腹筋と背筋から偏りなく同じぐらいの力を感じられていることもポイントになります。この部分から力を末端へと伝えていくイメージです。
例えば、手の保持力を発揮したい場面では、手・腕・肩・肩甲骨・胸骨は保持した状態で固定して、体幹や下半身の力がメインに使って重心を上げていくイメージです。
ただ、クライミング中はいろいろな状況があるので、常に100%の状態でムーブが起こせるわけではありません。実際は、できるだけそれに近づけられるような体の使い方をしているというのが実状です。
全身を連動させた運動を行うこと
身体操作のイメージとして、手でホールドを保持する位置と保持の方法(持ち方)を決めた後、動作の起点を腕や肩から体幹へシフトしていきます。私の感覚としては、へその奥の辺りに力が集中するイメージがあります。そのへそ周りに集中した力を、次のホールドを取るために、下半身の力をメインに使って高度を上げていく、移動させる、そんな身体操作を意識しています。体幹を中心に上半身と下半身を連結させることで、保持力や持久力を発揮した登りが出来るようになります。
その場合、両足のスタンス位置は、そのムーブを起こすために力が伝えやすい位置、バランスの良い位置をとらえます。そして、下半身の力をメインに体を動かすことになりますので、最初のうちは大殿筋やハムストリングスなどに疲れの症状が出ると思います。
まとめ
自転車でも体幹や股関節でペダルを漕ぐという教えがあります。最初は理屈的にも感覚的によくわかりませんでしたが、上記で紹介したキネティックチェーンの8つの要点を実践していく中で、体幹を起点として、力強く持久力を発揮した登りができる事を感じられるようになっていきました。
具体的には、持久力や回復力が明らかに向上したり、疲労感のでる場所が変わったりするので、その明らかな変化に違いを感じることができました。
簡単なムーブを起こす際に、体幹と連動した身体操作を感じられるようになるのは難しくないと思います。
クライミングのムーブは多種多様で、いろんな状況があります。更に、個々の癖もあります。そんな中で、身体能力を発揮する身体操作の最適解を、様々な状況に合わせて使いこなすことはとても難しいです。
登っていて急に力を吸われたと感じたり、何か違和感を覚えるムーブがあったり、それらは身体能力を発揮できないムーブになっていることの表れかもしれません。キネティックチェーンの記事で紹介している内容も、状況に合わせて、微調整しながら使いこなしていく必要があります。
体幹を核として、体全体を連動させたムーブを起こした時の感覚が出来るだけ得られる体の使い方を、様々な状況に合わせて使いこなせるようになってけば、自ずと保持力や持久力も上がっていくと思います。
私自身もまだまだ状況に合わせた身体操作が出来ない場面も多々ありますし、それを随時試行錯誤しながら活動している状況です。この記事を読んで頂いたクライマーの方に、登りに有効な身体操作があるということを知るきっかけにしてもらい、活動に取り入れてもらえればと思います。
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