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パリ オリンピック2024 スポーツクライミングで、森秋彩選手に感動した話

ライター:諦めない男 つるぎ

昔はクライミングワールドカップなどもよく見ていた時期がありました。しかし、数年前から自分のもろもろの活動が忙しくなってきて見る機会は減っていましたが、せっかくなのでオリンピック気分も少しは味わっておこうと見たところ、めちゃくちゃ面白くて、久しぶりにがっつりとクライミングの大会を観戦することになりました。

私が一番注目して応援していたのは森秋彩選手でした。身長154cmと小柄ながら、驚愕の指先力と、無限に発揮できそうな持久力、さらに精神力も強くて、勝負強さまで持っている、現在、世界最高のリードクライマーで、たまに目にするニュースや動画で驚かされていましたが、この大会でも森選手の登りを見て、大きな感動とクライミングに対するモチベーションを貰いました。

中でも決勝のボルダーの3課題目と、リードの登りが強烈に印象に残りました。森選手は身長が低いために、特に距離の遠い設定のボルダー課題に苦戦することが多いですが、それでも何とかアイデアをひねってホールドに届かせるための突破口を見つけようと、制限時間ギリギリまで諦めないでトライし続ける姿勢にいつも感動させられるのですが、今回も不運なことに、どうしてもホールドに届かすことができず登れない状況が続きました。

迎えた3課題目、私もどうやって登るのかまったく想像できず、それまでトライした他の選手も登れそうな気配のない難しそうな課題。更に距離もあるように見えたのでこの課題も森選手には厳しそうだと思いながら見ていると、天井に張り付くようなシチュエーションの中、カチホールドでマッチして遠そうに見えるホールドに届く体勢を作り、その後も辛そうなムーブをつなげていって、そのまま完登! ここまでの流れを断ち切ってのこのパフォーマンスに、大きな感動を覚えて、テレビの前で立ち上がって拍手を贈りました。

ホールドに届かずスタートすらできなかった1課題目から始まり、2課題目も設定の遠さに、何もさせてもらえなかった状況を経ての3課題目で、あれだけのパフォーマンスを発揮したことの凄さ、自分だったら精神が崩壊してそうな状況です。日本代表の間では神と呼ばれているとのことにも納得がいきました。

ボルダー4課題目は、もう少し時間があれば完登できそうな感じでしたが惜しくもタイムアップ。ボルダーは3課題目だけを完登して、8人中7位でリードへステージが移りました。

解説の平山ユージ氏のセッター情報からは、リード決勝のルートはかなり難易度の高いとのことで、もしかしたら森選手のメダルのチャンスがあるのかもと思い聞いていました。ただ、ボルダーが終わった時点で完登数が1だったために、上位の選手からはWスコア以上の状況となっており、かなり厳しい展開。とにかく気持ちを切り替えて、得意のリードで全力を出し切って良い印象でこの大会を終えて欲しいと思って観ていました。

前評判通り難しいルートのようで、4番目までの選手が終わった時点で、ゴール近くのエリアまでは誰も到達せず、迎えた森選手のトライ。結果、いつも通りの登りで危なげなくゴールホールド前まで到達。惜しくも完登とはならなりませんでしたが、圧倒的な登りでリード単体では断トツの1位(総合4位)という結果。

圧倒的な強さでオリンピック2大会連続金メダルとなった絶対女王ヤンヤ選手も、リードでは森選手よりもかなり下部でフォールという結果。登った直後の森選手がゴール付近を見上げて凄く悔しそうにしていたのも印象的でした。

一時はクライミングの競技生活に楽しさを見いだせなくなって、距離を取っているとニュースで知り、とても残念に思っていましたが、復帰した今は楽しいクライミングを取り戻したとの事、オリンピックでも楽しむことを一番に登って、決勝のリードでは楽しめた、出し切れたというコメントが聞かれたので本当のよかったなと思いました。

また、このオリンピックで、森選手の登りが見れて、めちゃくちゃ楽しませてもらいましたし、クライミングをやってて良かったなーという気持ちに改めてなりました。まだ、見てない方は是非見て下さい。モチベーションが爆上がりすると思います。
 

パリオリンピックでのクライミング競技ルールの要点

●パリオリンピック2024、スポーツクライミング(ボルダー&リード)
 ルールなどの競技要点

ボルダー4課題(完登25ポイント/課題)→リード1課題の順で行われ、それぞれ最大100ポイントを得ることができ、満点が200ポイント。

ボルダーの制限時間は、準決勝は5分間、決勝は4分間、ポイントが取れた課題に限って、1度のアテンプト失敗で0.1ポイントづつ減点される方式。

リードの制限時間は、準決勝・決勝共に6分間、ポイントが加算される対象となるのは、ゴールホールドから数えて40手分で、そのうち1~10手目は各1ポイントで、以降10手ごとに1ポイント上がり、最終セクションの31~40手目は各4ポイントが与えられる

<小ネタ1>パン屋でバイトしてるニュースが面白かった件

森選手がパン屋でアルバイトしているとニュースになっていました。パン屋の店員さんがイメージにぴったり過ぎだとか、ギャップが大きいとかで、ちょっとした話題になったようです。

 

<小ネタ2>森選手とクライミングジムで会った時の話

森選手が大阪のクライミングジムに練習しに来ている時に、少し話をさせてもらう機会がありました。その際、手を見せてもらったのですが、まず驚いたのは、手の大きさでした。男の私の手(男の中でも平均よりは大きい)と比較して少し小さいぐらいの大きさで、あの身長からは想像できない大きさでした。

次に驚いたのは、指先の皮膚がホールドに擦れて、削れて赤くなっている位置でした。下の写真の青い丸部分が私がよく削れて痛くなる位置で、森選手は赤い丸で表示した部分でした。こんな指先の方でホールドを保持し続けているんだと驚かされました。

練習内容は、その時あった5.13以上(6~7本ぐらい)の課題を順番にオンサイトトライしていくというもの。男用の距離感で設定されているのにモノともせず、半分以上オンサイトという結果でした。彼女からすれば当然でしょうが、凄いものを生で見ることができました。

 

<小ネタ3>野口啓代さんと内村航平さんの話が面白かった件

クライミング競技中継の合間に、野口啓代さんが特別ゲストとして、アスリートナビゲーターの内村航平さんと一緒に出演していて、この時のやり取りが面白く、とても興味深く見ていました。

その中で、1つ印象に残った野口さんの話がありました。

それは、森選手が決勝のリード課題を完登できたら、森選手にとって人生初のガッツポーズをしてもらうことになっているとの話。成功した後の状態をイメージすることはパフォーマンスを発揮する上で重要だと言われていますが、野口さんは競技前の応援の声かけの時にその意味も添えてそんな話をしたんだろうなと思いました。流石だと感じました。

内村さんも体操とクライミングには通じるところが多々あると、体操選手の視点から興味深い話をしてくれていました。クライミングに興味を示されていたので、内村さんがクライミングをしたらどうなるのか、そんな想像をしながら見ていました。

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