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成長のために追求するべきはどっち? レッドポイントとオンサイト

レッドポイント(以下、RP)とオンサイト(OS)、どちらを真の目標にして取り組むかで結果は変ります。

RPを成功させるためには、クライミングに必要なフィジカルをベースに、より楽に効率よく登る方法を追求することがメインになります。

一方、OS能力を上げるためには、RPで身に付く能力や技術のほか、現場対応力、勇気、オブザベーション力、状況に応じたムーブのひきだしの多さ、脱力が適切にできるかなど様々な能力が求められます。

クライミングにおいては、OSが最も価値の高いことですが、OSに苦手意識を持っていて、RPを目指す取り組みがメインになっているクライマーは多い印象です。

この記事では、クライマーとして成長するために、RPを追求する取り組みと、OS能力を追求する取り組み、この2つをどのようにとらえて活動に取り入れていくのかについてまとめていきます。

ライター:諦めない男 つるぎ

結論

レッドポイントを目指した取り組みでは、成長できる能力が限定されるものの、ムーブやレスト技術を高めるなど、一部の能力は、オンサイトトライよりも効率よく身につくものもあります。

オンサイト能力を上げる取り組みには、クライミング能力を上げる全ての要素が詰まっていますが、オンサイトトライできる機会も限られますし、最低限のフィジカルとクライミング技術がない状態では、成長するのは難しいと思います。

< この記事での各取り組み内容の定義 >

RPを目指した取り組みとは
完登できなかったルートを、完登を目指してトライし続けること。

OS能力を上げる取り組みとは
オンサイトトライをたくさんして、完登できなかった時は、その原因を自分なりに分析して、次に同じような場面が来た時に対応できる状態にしておく取り組み。(完登できるまで、ひたすらトライを続ける取り組みはしない)


ですので、クライミングで効率よく成長を続けていくためには、オンサイト能力を上げる取り組みと、レッドポイントを目指した取り組みをうまく組み合わせて活動する方が良いという結論になります。

取り組みの比率については、クライマーのレベルが高いほど、オンサイト能力を上げるための活動を増やした方が良い結果につながると思います。

次に、取り組み内容を考えるにあたって、レッドポイントのための取り組みとオンサイト能力を上げる取り組みについて、把握しておきたいメリットとデメリット、取り組む比率についての考え方について書いていきます。

 

把握しておきたいメリットとデメリット

レッドポイントのための取り組み

メリット

  • ムーブ技術の理解が深まり、ひきだしが増える
  • レスト技術の理解が深まり、ひきだしが増える
  • 大きな負荷をかけて使う筋力の向上につながる
  • 1点突破の集中力で各ムーブにおいて最大のパフォーマンスを発揮する感覚がつかめる
  • 成功体験により自信がつく

デメリット

  • 取り組んでいる課題で使わない筋力や柔軟性衰えていく
  • 楽な登りを繰り返すのでトレーニング要素無くなっていく
  • 挑戦する気持ち(勇気)や判断力が失われ、現場対応力下がる

 

オンサイト能力を上げるための取り組み

メリット

  • 挑戦する気持ち(勇気)判断力が育ち、現場対応力が上がる
  • オブザベーション能力が上がる
  • OSトライで登っている時でも、抜けるところでは力を抜く能力が育つ

デメリット

  • いろんな能力が向上しないと成果が見えないため、成長を実感するのに時間がかかる
  • 体の使い方やムーブ力、フィジカルが不足していると成長できない
  • オブザベーション能力が低すぎると成長できない

 

RPとOS 取り組む比率について

クライミングを始めたばかりの頃は、登るための体もできていませんし、体の使い方やムーブもわかりません。この時期にオンサイトトライを繰り返すよりも、1本1本の課題に向き合って、無駄に力を使うところや、登れないところのムーブを覚えたり、クライミングに適応した体を作ることが先決です。

逆に、ある程度登れるようになって、課題も難しいものにトライするようになってくると、リスクのあるムーブで不安を感じながら次のホールドを取りにいく場面が出てきます。そのような場面で早く決断して、思い切りの良いムーブが起こせるかは、普段から同様の気持ちで勝負していないと気持ちがブレーキをかけてしまい、なかなか出来るものではありません。

また、オブザベーションに苦手意識を持つクライマーは多いですが、それでも、オンサイトトライ前にオブザベーションを十分にしてから登って、落ちた時にはオブザベーションした時に考えたこととの違いなどを確認して、1人で反省会をする。これを繰り返していけば少しづつ着実に向上していくはずです。

クライマーの状況やレベルによって変わってくるので、一概に言い切ることはできませんが、初心者の内はRPを目指した登りだけで良いと思いますし、レベルが上がる程、オンサイト能力を上げる取り組みも意識的に比率を増やして取り入れ平行して行うことが大切です。RPトライばかりしていると、確信が持てるムーブでつながるルートしか登れないなんてことになっていきます。
 

まとめ

RPのための取り組みとOS能力を上げる取り組みでは、それぞれメリットとデメリットがあります。それらをうまく組み合わせて活動することは成長を続けるために重要です。

特に次の点を押さえて活動していく必要があります。

  • RPの取り組みでは、特定の能力を伸ばすのには向いているが、下がる能力があること
  • OSの取り組みでは、全ての能力が伸ばせるが、それだけをしていると効率が悪いこと
  • OSの取り組みでしか伸ばせない能力があること
  • ある程度登れるようになった頃からは、RPとOSの取り組みは平行して行うこと

 

また、OSでは、最適なムーブで登り続けることや、適切に力を抜きながら登ることが難しいので、全てのムーブ、ホールドの持ち方、レスト方法などが解っているRPトライと比較すると余分に力が必要になります。そんな状況で登った時の刺激を体に入れ、経験することは成長するために重要なことです。

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